ここでは、八十島プロシードが得意とする、高機能性樹脂「PEEK」について詳しくご紹介いたします。



PEEKとは・・・

Poly Ether Ether Ketone(ポリエーテルエーテルケトン)という、スーパーエンプラ(スーパーエンジニアリングプラスチック)に属する熱可塑性樹脂で、略してPEEK(ピーク)と呼ばれています。
1978年、英国のインペリアル・ケミカル・インダストリーズ社(現ビクトレックス社)が特許を取得し、1981年に商品化されました。


スーパーエンジニアリングプラスチックとは
エンジニアリングプラスチックよりさらに耐熱性及び機械的強度を高めた樹脂の総称です。
150℃以上の環境下で連続使用することが可能です。
機械的強度も非常に高く、軽量化などを目的とし、金属の代替としても使用されます。


PEEKの特徴


耐熱水性

連続使用温度が260℃(UL746B)と樹脂最高クラスであるPEEKは熱水にも強く、耐加水分解性も兼ね備えています。
融点は343℃で、200~250℃のスチーム中でも連続使用が可能。短時間であれば300℃のスチームにも耐えます。
但し、ガラス転移点は143℃、荷重たわみ温度は152℃(1.82MPa)のため、用途により注意が必要です。


耐薬品性

高温、高圧下のもと塩酸、硫酸、フッ酸、硝酸など強い化学薬品を使用する過酷な環境でも採用されています。
耐熱性に加え、有機溶剤に不溶かつ、濃硫酸以外の薬品には溶解されないPEEKは他の樹脂と比較しても優れた耐薬品性を有します。


 耐薬品性詳細データ

使用可

 

薬品種類、条件によっては使用に注意する

 

使用不可

分類 化学物質名 PEEK 分類 化学物質名 PEEK
有機化合物 アセトン 有機化合物 アンモニア水(10%水溶液)
エタノール(96%) 塩化亜鉛(10%水溶液)
蟻酸(10%水溶液) 塩化カルシウム(10%水溶液)
キシレン 塩化ナトリウム(10%水溶液)
クエン酸水溶液 過酸化水素水(30%)
グリコール 過マンガン酸カリウム(1%水溶液)
酒石酸 重亜硫酸ナトリウム(10%水溶液)
トリクロロエチレン 水酸化カリウム(50%水溶液)
トルエン 水酸化ナトリウム(30%水溶液)
乳酸(10%水溶液) 炭酸ナトリウム(10%水溶液)
ヘプタン、ヘキサン ホウ酸(10%水溶液)
ベンジン(C -C ) フレオン
ホルムアルデヒド30%水溶液 硫酸銅(10%水溶液)
メチルエチルケトン 硫化水素(飽和)
無機酸 塩酸(36%水溶液) 溶融ワックス
塩酸(2%水溶液) 温水
酢酸(濃) 冷水
クエン酸
フッ化水素酸(40%)
シュウ酸
硝酸(2%水溶液)
硫酸(98%水溶液)
リン酸(濃)
リン酸(10%水溶液)

低アウトガス

光エネルギーや熱、真空中でのアウトガスが少なく、宇宙機での搭載実績があります。


機械的特性・耐摩擦摩耗性

幅広い温度帯で高い機械的強度を発揮します。
引張強度と耐衝撃性が高く、さらに充填剤を添加した強化グレードもあるため、軽量化を目的とした金属の代用として使用されることもあります。
また、強化グレードでは広範囲の摺動条件に対して、PIに匹敵する耐摩擦摩耗性を発揮します。


難燃性

アメリカで最も権威ある安全試験及び製品検定証明機関であるULの規格UL94において、最高の難燃等級V-0(1.5mm厚)に値します。
燃焼時の発煙や、腐食性及び有毒なガスの発生が少なく、防災面からも安心・安全です。


耐放射線性

ガンマ線に対する耐性は熱可塑性樹脂の中で最高レベルです。1000Mradまで絶縁性を保持できます。


食品安全性

食品衛生法に適合したグレードがあり、食品加工機械の部品として使用されています。
また、米国のFDA(食品医薬品局)規格を満たすグレードを有しており、食品加工分野だけでなく、血液や組織と直接接触しない医療機器でも採用されています。

八十島プロシードのPEEK樹脂加工技術

高精度切削加工

PEEK樹脂の特性、加工形状に基づいた加工工程、加工条件を選択し、お客様の要求事項に合った製品の加工を行います。
また、切削加工だけでなく、造形品の後加工など、様々な先端加工技術の融合により、今までにない製品の製造を実現します。

 

溶接・溶着加工

耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性に優れるPEEK樹脂の高精度溶接・溶着加工を行っています。

PEEK グレード・規格サイズ

標準グレード



(長さ)1000x(幅)500

5~60t(mm)


(長さ)1000

Φ6~200(mm)

  

カーボン繊維強化グレード

約30%のカーボン繊維が充填された強化グレード。
機械的強度、摩耗特性が向上。優れた耐疲労特性を持ちます。

 

5~20t(mm)

Φ10~100(mm)

スミプロイCK4600(住友化学独自のコンパウンド)

 

耐疲労特性とは
材料の持つ物性値よりも弱い力であっても、力を繰返しかけることで劣化してしまったり、経年による変化に対する耐性のこと。


ガラス繊維強化グレード

約30%のガラス繊維が充填された強化グレード。
剛性が高く、耐クリープ特性が向上。

 

~50t(mm)

~φ100(mm)

 

耐クリープ特性とは
材料に力をかけ続けることで生じる歪みや、破断に対する耐性のこと。


摺動グレード

カーボン、フッ素、グラファイトが合計約30%充填された摺動グレード。
高い限界PV値と、高温下での優れた摺動特性を有します。軸受けやギヤ、ベアリングなど摺動部品に使用されます。

 

~50t(mm)

~φ100(mm)

 

限界PV値とは
PV値とは面圧(Pressure)と速度(Velocity)の積の値です。
摺動面の摩擦熱により樹脂が溶融したり、焼きついたり、もしくは異常摩耗するPV値を限界PV値といいます。


医療用グレード

生体適合性グレード他、複数のグレードがございます。
使用環境で材料選定が必要です。詳しくは専任スタッフがご対応します。



架橋型PEEK Arlon™3000XT

Arlon™3000XT(Greene,Tweed社の商標です) 高圧・高温下における優れた耐熱性を有します。軟化させることでシール性の向上を図れます。

 

~12.7t(mm)

~φ50.8(mm)


架橋とは
分子と分子が繋がった状態になる化学反応のことです。
架橋を起こすには時間がかかりますが、分子が繋がることで、より硬く壊れにくい構造になり、不溶・不融化します。


上記以外にも様々なグレード、サイズがございます。お気軽にお問い合わせください。

PEEK樹脂用途例

半導体製造装置部品

液晶製造装置部品

洗浄治具

化学関連機器部品

精密機器部品

高絶縁端子

食品・飲料製造設備部品 etc


PEEK素材の加工・ご提案に関するお問い合わせ、ご相談はこちら

お電話のお客様はこちら

0120-804-037

受付時間 9:00~17:00
(土・日・祝日および弊社指定休業日を除きます)